岡田克也幹事長は5月7日、国会内で会見を開き、政治不信と政治改革について発言しました。

 岡田幹事長は、ゴールデンウィーク中に地元で20回近く開いた青空座談会等で「今の政治に腹を立てている方は挙手をと求めるとほぼ全員手を挙げる。非常に厳しい見方をしていると思った。それは自民党に対する怒りだけではなく政治そのものに対する怒りも含まれていると理解している」と政治不信の深刻さを指摘しました。

 東京15区を例にあげて、岡田幹事長は「話題の選挙区だったが、投票率は決して高くない。既存政党に対する批判がかなりあるのではないか」と指摘し、「後半国会が始まったが、政治改革についてしっかり議論する。平行して事実解明もやるが、政治倫理審査会、委員会にポイントになる方に出席してもらうのも重要。改革論議も進めていかなければならない」と政治改革の必要性を訴えました。

 岸田総理が旧文通費や政策活動費に関する発言を変えてきている点を指摘し、岡田幹事長は「具体的な内容はこれから、しっかり見ていく」と述べ、「政策活動費は、中身を公開することで逃げようとしているようだが、党勢拡大に4億円。政策調査に3億。そういう中身の公開だとほとんど意味がない。きちんと領収書をそろえて、何に使ったか分かる公開でないと意味がない。ざくっとしたくくりでそれが公表と言うのはまさしく『なんちゃって改革』。国民を裏切るものになる」と懸念を述べました。


岡田克也幹事長記者会見

2024年5月7日(火)15時00分~15時25分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/WnKW53qeDTQ


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○第100回常任幹事会について

【幹事長】
 まず、いつもと順序が違いまして、常任幹事会はこれから行われます。したがって、常任幹事会でどういう議論が行われるかということはわからないわけですが、その後、私は会見の予定がございませんので、一応常幹を通った場合にはという仮定の条件で少しお話ししておきたいと思います。
 内容的に言いますと、新たな候補者ということで、お一人が、(衆議院)徳島1区、高橋永さんであります。広告会社にお勤めであった方で、実は高橋さんのお母さんは参議院議員として野党統一候補として徳島で1期務められました。三木元総理から見ると、お孫さんということになります。今の政治の状況を見て、自分もしっかりと関わっていきたいということで決意をして、立候補を決めていただいたということであります。
 それから、現職ですが、石垣のりこさん、参議院宮城選挙区。それから、森屋隆さん、参議院比例区。お二人も公認申請が出ておりまして、きょうの常幹で公認(内定)が、決定が行われる予定であります。
 常幹は以上です。

○政治改革について

【幹事長】
 補選が行われまして、補選の後も記者会見もやりましたが、その後、私はゴールデンウィークは三重2区に応援に行ったことと群馬に行った以外は大体地元にいて、自分の活動を久しぶりに腰を据えてやっておりました。きのうも6会場、青空座談会。ちょっと雨が降ったりしましたが、連休の間に全部で20会場くらいはできたかなと思っています。主として後援会組織の弱いところにポスティングする形で、つまり、新たな住宅地ですね、そういうところでやっておりましたが、「今の政治に腹を立てている方」というふうに聞くと、ほぼ全員が手を挙げるということで、非常に厳しい見方をしていただいているなと思いました。
 ただ、そのときに私も申し上げたのですが、それは自民党に対する怒りだけではなく、政治そのものに対しての怒りも含まれていると、私はそう理解しておりますということを申し上げた上で、いろいろお話しさせていただきました。
 東京15区を見ても、投票率も決して高くはなかったわけです。たくさんの候補者が出ていた割に、話題のあった選挙区であった割にはですね。そして、我が党の候補者、酒井さんは第1位を占めたわけですが、第2位は無所属の人、第4位は日本保守党の人ということで、そういう意味では、やはり既存政党に対する批判といいますか、そういうものもかなりあるのではないかと思っております。
 酒井さんも大変頑張られましたが、無党派層で圧倒的に強かったわけでもないということで、2位の須藤さんにむしろ無党派層では負けているという調査もあります。そして、4位の日本保守党の候補者も結構得票したということですので、やはりこれは相当真剣に、日本の政治そのものが問われているんだということを受け止めて、後半国会が始まりましたが、政治改革についてしっかり議論をする。もちろん事実解明を明らかにするということも並行してやっていきますが、そのためには政倫審とか、あるいは委員会にポイントの方にも来ていただくということも重要になりますが、同時に改革論議もしっかり進めていかなければいけないと改めて感じております。
 総理が、旧文通費とか政策活動費について、少し言い方を変えてきております。具体的に、では、中身はどうなのかということは、これからしっかり見ていきたいと思います。
 例えば政策活動費について中身を公開するということについても言及されているやに思いますが、それが、例えば茂木幹事長に9億円の政策活動費が行きましたと。その内訳として、党勢拡大に4億円です、政策調査に3億円ですとか、もしそういう中身の公開だとすると、これはほとんど意味がないわけで、きちっと領収書をそろえて、どういう活動に使ったかということがわかるような公開でないと意味がないわけであります。
 そういうふうに(きちんと使途を)公開するということになると、実は、そういう、政治家、幹事長やその他役職者にお金を出すという政策活動費でやる必要は全くなくなるのであって、党から各政治家の政治団体に支出をすればいいわけですから、中身を明らかにするということは実は政策活動費とか渡切費はなくなるということだと私は思いますが、いずれにしても、そういうざくっとしたくくりでそれが公表だというのは、それはまさしくなんちゃって改革だということになります。国民を裏切るものになると考えております。
 したがって、どういった中身が出てくるのかと。公明党さんも、まさかそんなことで合意はしないでしょうねというふうに思っているところであります。


■質疑

○政治改革について(1)

【共同通信】
 今、政策活動費について、自民党が、総理側がちょっと容認に転じたというところに触れられたと思うが、政治資金パーティーについての寄附の公開基準についても引下げで検討されているという報道もある。こちらについての受け止めをお願いしたい。

【幹事長】
 ここは私たちは政治資金パーティーは全面的に禁止というふうに考えておりますので、その立場からいうとコメントはできないということになります。

【共同通信】
 それ以前の問題というふうなお考えなのか。全面禁止ということを打ち出されているので、基準の引下げとか、そういう問題ではないということか。

【幹事長】
 基準の引下げの議論をするということは、全面禁止ではないということを、そういう立場に立つということになります。

【フリーランス】
 政策活動費に関して伺いたい。立憲民主党の考えとしては政策活動費は廃止ということか。

【幹事長】
 政策活動費及び渡切費、いずれも廃止です。

【フリーランス】
 きのう総理が外遊から帰り、ゴールデンウィーク中にもかかわらず総理公邸で鈴木馨祐さんらと会い、報道によって若干違うが、政策活動費に関して、使途の公開ということで、私も非常に正直驚いたが、ほかの報道では項目の一つとして自公協議に今週から臨むというようなことがある。大体冒頭発言で話があったが、やはり政策活動費の使途の公開では全く不十分で容認できないとお考えか。

【幹事長】
 ですから、全部ちゃんと出すと、領収書をつけてというならば、それは意味があると思いますよ。でも、それならば政策活動費ではなくなるのではないかと私は思いますけれども。

【朝日新聞】
 今の政策活動費のところで重ねて伺いたい。午前中、野党の国会対策委員長会談があり、その後の安住国対委員長のぶら下がりで、野党として一致したこととして、政策活動費の全面開示を求めていくことが野党各党で一致したという表現をされているが、今、あくまでも廃止を立憲としては掲げられているということで、今後、他党との調整をどういうふうに進めていくかというところはいかがか。

【幹事長】
 全面開示と廃止はイコールです。全面開示した瞬間に、それは政策活動費ではもうないということになります。

【朝日新聞】
 そういう意味において、他党の理解も得られているというご認識か。

【幹事長】
 他党も同じ理解だと思います。

○誹謗中傷に対する刑事告訴について

【産経新聞】
 名誉毀損の刑事告訴の件について伺いたい。御党を排泄物に絡めてSNS上でやゆなどしていた人物に対する刑事告訴について、不起訴処分となった。このことに対する受け止めを伺いたい。

【幹事長】
 それは警察・検察の判断ですから、尊重されるべきだと思います。
 ただ、政党に対して、特に選挙の近いときに、名誉毀損に当たりかねないようなことを言うということが自由に言えるわけではないと。私たちも一つ一つ判断しながら必要に応じて対応していくということは申し上げておきたいと思います。

○後半国会 重要法案の審議について

【フリーランス】
 今国会は政治改革国会だというふうな発信を更に強めていらっしゃるが、かなり重要法案もある。例えば、きょう、衆議院では地方自治法の指示権を国に持たせるものや、参議院のほうでは離婚後共同親権に関して法務委員会では4人参考人掛ける2部制で今やっているところだ。経済安保もある。なかなかこういったところに、今国会、関心が集まり切れていないところがある。改めて、この後半国会、参議院のほうはしばらくそちらも大変だと思うが、会期も残り少なくなってきたが、政治改革の法案と真相究明、それと重要法案と、どういった形で党の外も含めて取り組んでいかれるか、改めてお願いしたい。

【幹事長】
 もちろんそれぞれ重要なことなので並行してやっていくということです。
 衆議院においても、報道を見ていると、政治、その裏金の問題ばかりやっていたと、私も有権者の方からそう言われることは結構あるのですが、時間を見てくださいと。予算委員会でも、そればっかりやっていたわけではもちろんないですよということです。
 重要法案は重要法案で、しっかりと審議をしていきたいと思います。

○叙勲について

【フリーランス】
 もう一件、ちょっと時間があるので、1年前の、岡田さん個人の話だが、旭日大綬章の皇居での親授式のときに、受章者の中で一番年長者ということで、民間だが、日本チェーンストア協会の岡田元会長が天皇陛下から勲章を渡された。そのときは気づかなかったが、別角度からの写真で気づいたが、岡田克也さんが議員バッジをしないで寄り添っておられたようだが、あれはご本人に、一番、皇居周り、天皇陛下の周りのことで詳しい親族といった立場で参加されたのか。

【幹事長】
 いや、ちょっとわかりません。それは父からつき添ってほしいということでしたから、私がつき添ったということです。

【フリーランス】
 天皇陛下から日本の国の公のために尽くしたといったこともあって叙勲を受けたといったところで、何かお考えみたいなものはあったか、1年前。

【幹事長】
 いや、それは個人的なことなので特に申し上げることはありませんが、ただ、ほかにも同じ日に受章された方はいらっしゃいます。年齢的にいうと20歳くらい離れている方ばかりですね、ほかの産業界の方。やはり、流通業界で初めての受章だったということですが、それだけまだ地位が低いということの表れかなというふうに思っています。

○「衆院3補選結果」「有志の会について」

【フリーランス】
 短めで、二つお願いしたい。一つ目は、東京15区だが、無党派は2割強、2位の須藤元気さんのほうに支持が行っている。れいわ新選組は割れたが、山本太郎代表は都知事選のときのお返しだということで街頭演説を1回だけした。ある程度、量的金融緩和とか、あるいは積極財政といった、山本太郎さんと、党の党勢は更に伸びているようだが、そういったものへの支持があるというふうにお考えか。

【幹事長】
 私が申し上げたのはそういう趣旨ではなく、既存政党に対してやはり嫌悪感が出ているのではないかと。もちろん原因は自民党にあるのですが、気をつけないと、政治全体に対して、特に既成政党に対しての嫌悪感というものが、ヨーロッパを見ていても、とんでもない結果を招いたりする。そういう意味でも、この国会でどうしても政治改革をきちっと成果を上げなければいけないと思います。

【フリーランス】
 最後に、常任幹事会であくまでも決まればだが、徳島1区は仁木博文さんが自民党のほうに移ったから擁立ということだと思うが、有志の会の小選挙区で通っている議員はほかにも4人いるが、有志の会のほかの4人のところとは衆院選では小選挙区は協力するのか。

【幹事長】
 協力ということなので双方向になります。別にそういう議論をしているわけではありませんが、自民党に行った仁木さんは、それは自民党ですから。ほかの有志の皆さんは基本的には国会で協力しながらやっているわけなので、位置づけが異なるというふうに考えております。

○静岡県知事選について(1)

【共同通信】
 あさって静岡県知事選が告示になる。自民党本部は党本部として大村元副知事の推薦を決める方針を固めたということだが、共産党も出されたりはしているが、与野党対決と言っていいかと思う。今回、補選で3勝されたことを踏まえ、どういった選挙戦にしたいか、意気込みをお願いしたい。

【幹事長】
 立憲・国民は推薦を鈴木康友候補(予定者)に行っております。しっかり協力しながら、勝利できるように、党としても全力を挙げたいと考えています。

○裏金問題 政倫審の審査申立てについて

【共同通信】
 もう一つ、別の話だが、この3補選で立憲の議席が三つ増えたことによって、政倫審での申立てが可能になり、近く、残り44人、まだ出ておられない方に対しての申立てを行う方針をきょう国対委員長会談で決められたと思うが、このことに関しての受け止めというか、ご見解をお願いしたい。

【幹事長】
 当然のことですよね。我が党の従来からの求めです。
 44人の中には、自ら出てきたいと思っている人も実はいるのではないかというふうに思いますが、しっかりと説明してもらいたいと思います。
 選挙区に帰っても、何か収支報告書を適当に直せば、しかも、何か「不明」みたいな形で、領収書も何もなくて適当に直せばそれで税金を逃れられるということに対する国民の怒りは相当強いものがあります。そういうことに対して、きちっと一人ひとりが自らの問題について説明するということは非常に重要なことだと思っています。参議院も同じです。

○解散・総選挙について

【幹事長】
 それから、ちょっと前回、私、少し発言の中で、岸田総理にとっての唯一の道は6月の解散だという趣旨のことを申し上げましたが、若干訂正をさせていただきます。この国会会期中の解散が唯一の道であるというふうに申し上げておきたいと思います。
 会期が6月に終わるかどうかはわかりませんので、違うやり方も当然あり得るかもしれません。もちろん、7月7日(都知事選)に重なるというか、それと近いような解散はできないと思いますが、大幅に会期延長をすればそういう道もあるかもしれませんので、若干発言を修正しておきたいと思います。

○「選挙妨害」めぐる議論について

【時事通信】
 公職選挙法について伺いたい。東京15区で他の陣営から妨害行為があったことを受け、きょう日本維新の会が公職選挙法改正の骨子案たたき台というものを公表した。きょうの野党国対委員長会談でも説明があったというふうに伺っている。具体的な内容としては選挙の自由妨害の罪について具体的な類型を明記するであったり法定刑の引上げというものがあるが、立憲民主党としては、特に今般の妨害行為を受けて公選法改正の必要性についてどのように考えているか。また、今回の維新の提案をどう受け止めているかお願いしたい。

【幹事長】
 まず、既存の法律で対応できないことなのかどうかと。それは警察・検察の判断ということになります。そこがまだ明確には出ていないと。それを見極める必要がありますね。既存の法律でもできる、私はあれだけのことがあって現在の法律で何もできないということはないのではないかというふうに思っていますが、そこは見極める必要があると思います。
 同時に、それでできないということであれば私は法改正すべきだと思いますが、書き方はよくよく気をつけないと、自由な活動をも制約することになりかねない。これはそういう意味では諸刃の剣みたいなところがありますので、要件についてしっかりと議論する必要があると思います。

【時事通信】
 維新が示したたたき台の中では、今回の選挙戦で警察による取締りが行われなかったとして、検察官や警察官に対して取締りを公正かつ迅速に行わなければならないという規定も新たに設けるというふうにたたき台に示しているが、この点についてはどうお考えか。

【幹事長】
 それが法的にどういう意味を持つのかというのは、よく聞いてみたいと思います。

○静岡県知事選について(2)

【朝日新聞】
 先ほど共同通信さんから質問のあった静岡県知事選で伺いたい。事実上の与野党一騎打ちの構図になるということで、国政に与える影響を伺いたい。過去に、最近でも菅政権のときの横浜市長選がその後の菅政権の命運の鍵を握る事例もあった。もちろん場所や状況もまた異なるが、この静岡県知事選の与野党一騎打ち、今の政治、国政に与える影響についてどうお考えか。

【幹事長】
 横浜市長選の際には明確な争点がありました。今回ももちろん全体としては対立の構図ですが、一つの争点を争っている選挙では必ずしもないと思うのです。
 とはいえ、一方は自民党が推薦し、他方は我々、国民民主党と立憲民主が推薦しているわけで、明らかな与野党の対立構図ということですから、しっかりと応援して結果を出したいと思っています。

○政治改革について(2)

【朝日新聞】
 別件で、もう一点伺いたい。政治改革の話で、立憲民主党の独自案の法案提出、これについて、めど等があれば改めてお願いしたい。

【幹事長】
 いつでも出せますが、他の野党とも、特に維新や国民とも、できるだけ、共通する部分があるのですね。共通しない部分もあるのですが。共通する部分についてはほとんど違わないので、そこだけでも一つにして出せないかと、私はぎりぎりまでその努力はしたいと思います。
 できなければ、ばらばらに出して、出した後に議論していくしかないのですが、やはり共通のものがあると、それだけ交渉力も強くなります、与党に対する。その努力はなお続けたいと思っています。

(以上)